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サイクリストと不整脈2 心房細動の治療とその経過

 前回の記事「サイクリストと不整脈-心房細動発症とその経緯-」では、心房細動の発症とその経緯について紹介した。今回の記事では、その治療法であるカテーテルアブレーション施術とその経過について、紹介したいと思う。

 

(1)カテーテルアブレーション施術について

 東京共済病院では、心房細動の本格治療は困難とのことだったので、東京医科歯科大学付属病院(以下、TMDUと略す)を紹介してもらって治療してもらうこととなった。心房細動の治療方法の代表的な治療方法として、カテーテルアブレーションがある。

 カテーテルアブレーションとは、カテーテルという細い管を静脈に通して、心房細動の不整脈の原因の電気信号の通り道となる心房表面を、カテーテル先端を当てて焼くことで、電気を通らなくする施術である。カテーテルアプレーションは、心房細動の初期の段階である発作性心房細動には、極めて効果的な施術だが、持続性心房細動や長期持続性心房細動などに進行していると、治療しても再発可能性が高くなる。

 私の場合には、通常の人間ドックの心電図で検出されたことから持続性心房細動であるものの、昨年の人間ドックでは検出されなかったので、持続性に移行して間もない心房細動ということになる。カテーテルアブレーションでの治療可能性があるとのことだったので、思い切って、施術を受けてみることにした。

 

(2)1回目のカテーテルアブレーション

 TMDUで2020年11月に1回目のカテーテルアブレーション施術を受けた。受けた直後は、心拍数が170位に高くなったりして、なかなか心臓が収まらなかった。確かに、心臓にしてみれば、休みなく動いているのにその表面にカテーテル先端の焼きごてを当てられてやけどを何カ所も負わされて散々な目に合ったのだから心臓が暴れるのも無理もないと思う。カテーテルアブレーションは、施術後にすぐ直るというものではなく、3ヶ月程度様子を見て効果を判断すべき施術だ。

 私の場合、施術後10ヶ月後に1週間の心電図計測したところ、2回11時間(7%程度)の心房細動が残留している事が分かった。心房細動が残留している限り、血液さらさらの薬を服用する必要があるため、完治を目指して2回目のカテーテルアブレーションを受けることとした。

 これは、当初から成功確率60%と言われていたことと、冒険家でご高齢の三浦雄一郎さんが多数回施術したと聞いて、凡人でも2回位は施術しても良いと思ったことが背景にある。文献[1]

 

(3)2回目のカテーテルアブレーション

 TMDUで2021年12月に2回目のカテーテルアブレーション施術を受けた。今回の施術後は、私本来の徐脈という傾向が強く出てきてしまい、8秒程度脈が無い脈飛びが生じて、医師が心配して外付けのペースメーカを取り付けるという事態となり、3泊4日の入院が11泊12日になってしまった。

 施術後3ヶ月後に、TMDUにて1週間の心電図計測したところ、4%程度の時間帯で心房細動が発生している事が分かった。ちょっと残念な結果だが、私はまだ完治の望みを捨てていない。 (4)アップルウォッチによる心電図計測  私の場合、心房細動の自覚症状がほとんどなかったので、施術後の推移の善し悪しについて確認する手段としてアップルウォッチによる心電図計測をすることとした。2回目の施術後、アップルウォッチを買い求めて、心電図計測を最低1日1回実施した。アップルウオッチでは、心電図計測して、心房細動と洞調律(正常)を自動判定してくれる。以下に典型的な心房細動と洞調律の心電図データを示す。

 

心房細動の心電図データ(2022/3/9 14:23、心拍数=90bpm)

洞調律の心電図データ(2022/3/30 0:17、心拍数=62bpm)

 

(5)心房細動の特徴

 これまで4ヶ月程度アップルウォッチによる心電図計測を実施してきた。その結果分かった心房細動の特徴は、以下の2点だ。

  1. 心房細動が発生している場合の方が、心拍数が高い。
  2. 私の自覚症状として胸騒ぎを覚える場合、心房細動が発生している事が多い。

 

(6)心房細動の推移(アップルウォッチ計測による)

 現在、施術後4ヶ月が経過した。下図は、アップルウォッチ計測で自動判定できた心電図計測の回数のうち、心房細動の比率(%)の推移を示している。下図に示すように心房細動比率が次第に低下する傾向は見られるものの、心房細動が完全になくなった訳ではない。心房細動が今後収束するのかどうかについては、また別途報告したい。

 

参考文献

[1]2016/4/18 吉田クラフト ブログ「心臓病(不整脈)患者が励みになる、三浦雄一郎さんの豪快エピソード2選」