本記事では、輪行を含めた自転車携行を分類するため、私が勝手に「記号表記法」と名付けた自転車携行に関する分類法を新たに開発したので、それについて紹介・提案する。
(1)背景
私が去年から気になっている自転車で、カラクルCOZというカーボン製の折りたたみ自転車がある。カラクルCOZは6.7kgという超軽量なのだが、お値段も30万円以上と少々高い。この折りたたみ自転車を導入した場合の利用は、輪行が前提となるので、どのような輪行でメリットがあるのか検討してみたくなった。
検討に際しては、どのような輪行があるのか分類して、それらの各分類に対してカラクルCOZの適正を評価したいと考えた。しかしながら、先行事例をググっても、これまでに輪行の分類は公表されていないようだ。先行事例が無いならば、作っちゃえと言うことで、輪行を含めた自転車携行の分類のために、勝手に「記号表記法」と名付けた表記法を開発することにした。
(2)記号表記法について
記号表記法のアイデアのポイントは、自転車を持ち運ぶ各行程をアルファベットの記号で表記することだ。記号表記法の主要な文法は以下のとおりだ。
・記号のアルファベットは、その行程が思い浮かぶ英語の頭文字とする。
・移動手段が公共交通か自家用かは区別せず、一つの記号で表す。
・宿泊は、場所を識別するために、宿泊場所番号で表す。
・宅配便は、自転車輸送と別に、人の移動をカッコ書きで併記する。
・各行程は、時間順に左からアルファベットまたは宿泊場所番号を記す。
Wikipediaによると、「輪行とは、公共交通機関(鉄道~船~飛行機など)を使用して、自転車を運ぶこと。」と定義されており、輪行は、公共交通機関に限定した自転車携行方法である。
しかし今回の記号表記法は、輪行(公共交通機関による自転車携行)に限らず、自家用車やレンタカーによる移動や、自走や宅配便などの移動も広く対象として含めることとした。
以下に、今回の記号表記法の辞書とも言うべき記号リストを示す。
(3)自転車携行方法の分類
新しい記号表記法を利用して、自転車携行方法を大きく3つの区分に分類してみた。その結果を以下に示す。また3区分の説明を表下方に示したので参考にしてほしい。
1)単一拠点型
単一拠点型とは、自宅から遠く離れた宿泊場所を拠点として、その周辺を日帰りでサイクリングする区分だ。宿泊場所を変えないので、1日1日のサイクリングは日帰りとなる。そのため、軽量なデイバッグだけで対応可能で、大きな荷物のためのリヤキャリアは不要と思われる。ただし、目的地への移動手段が電車の場合、駅から宿泊場所まで自走を想定すると、大きな宿泊荷物のためのリアキャリアが必要な場合もあり得る。
単一拠点型の事例としては、サイクルイベントなどへの参加がある。例えば、私が2022年10月に参加した鳥取すごいライドの4泊5日の行程では、飛行機で鳥取コナン空港まで移動し、そのまま4泊5日の旅程で鳥取市に滞在した。この場合の記号表記は、CAC11B1B1CACと表すことができる。この記号表記の現地のCは軽レンタカーを利用した。
2)短期周遊型
短期周遊型とは、自宅から遠く離れた宿泊場所への移動手段として飛行機または車を想定した区分だ。飛行機での輪行の場合は輪行ケースがかなり大きいために自走で輪行ケースを運ぶことは困難だ。また車で移動する場合には、サイクリング後に車に戻る必要がある。
短期周遊型は、周遊形式で自転車で自走した後に最初の宿泊場所に戻ってくる区分で、輪行ケースまたは車を最初の宿泊場所に預けておくことによって、輪行ケースや車の保管の問題を解決する方法だ。
この区分の私の事例としては、2010年7月に行ったオーストリアのザルツカンマーグートのサイクリング周遊がある。このときは、最初に宿泊したザルツブルクのホテルに輪行ケースや海外旅行用スーツケースを預けて、3泊4日の行程でザルツカンマーグートのサイクリング周遊した後、最初に宿泊したホテルに戻った。この事例の行程表を下表に示す。また記号表記は、CAC11BTB2B3B4B11CACとなる。この記号表記の現地のCは、ワゴンタクシーだ。
3)ツーリング型
この区分は、一般的に言うところの電車輪行を含むが、すべて自走で移動して帰宅する方法も含めてツーリング型という区分とした。
この区分で大きな宿泊荷物がある場合は、リアキャリアが無いと相当な困難を伴うと推定される。ただし、暖かい季節で宿泊荷物が軽量化できる場合には、軽量のデイバッグで宿泊荷物が対応出来ると思われる。ただし残念ながら、私はとてもやれそうにはないので、私にはリヤキャリア必須と考えている。
(4)記号表記法のまとめ
今回新たに提案した「記号表記法」の特長を、以下にまとめておく。
・自転車携行の旅程を分類するのに、効果的である。
・自転車携行の観点で、全体の旅程を網羅的に表記・計画できる。
・自転車旅行の計画確認のためのチェックツールとして有効である。
・記号表記法を利用した自転車携行の分類は自転車選びにも有効である。
読者の方々で、「記号表記法」に関心のある方は、是非ともを使ってみて、感想や意見をコメント頂けると大変ありがたい。
(5)カラクルCOZの購入検討結果
そもそもの「記号表記法」開発のきっかけとなったカラクルCOZ購入検討について、最後に述べておく。カラクルCOZは、カーボンフレームでリアキャリア用のダボ穴もないことから、リアキャリア装着を想定した設計では無い。さりながら簡易的なリアキャリアは装着できる可能性はあるが、私の場合大きな宿泊荷物となるため、その場合の安全性を考慮すると、リアキャリアは装着できないと考えた方が良さそうだ。
リアキャリアの無い自転車の場合、(3)で検討したように、単一拠点型では良いと思われるが、短期周遊型またはツーリング型にはあまり向いていない。
今回のこのような検討結果に基づくと、カラクルCOZのような超軽量の折りたたみ自転車を導入した場合に、私が期待するツーリング型利用形態では、デイバッグで背負える範囲のツーリングに限定されてしまうため、少し使いにくいことが分かった。
したがって、私に合った折りたたみ自転車としては、リアキャリアが確実に装着できてかつ出来る限り軽量ということになりそうだ。