自転車の転がり抵抗は、これまで2回に分けて検討し、転がり抵抗係数の計算式[記事1]、転がり抵抗によるパワーロスの計算式[記事2]を導出した。今回の記事では、反発係数eと力の関係を検討して、[記事1]の補足としたい。反発係数eと力の関係を検討するため、下図に示すようなモデルを検討する。
ボールがつぶれている時間をt1秒、平均圧縮力をW1、ボールの反発している時間をt2秒、平均反発力をW2とすると、力積は運動量の変化量に等しいため、以下の(10)(11)式を得る。
一方、反発係数eの定義により、以下の(12)式を得る。
(10)(11)(12)式により、以下の(13)式を得る。
ここで、近似的にt1≒t2と考えると、以下の(14)式を得る。 <
ボールの床との接触面積をS、W1、W2に対応する平均圧力密度をそれぞれN1、N2とすると、
したがって、以下の(15)式を得る。
(15)式は、ボールを押しつぶす力N1のe倍の力でボールが反発することを示しており、[記事1]において、式(2)を式(3)に変形した根拠となる。